子宮体ガン

1. 子宮体ガンの診療の流れ

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ガンの疑い
「いつもと体調が違う」と感じたら、なるべく早く受診しましょう。
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受診
現在の症状や気になっていることなどを担当医に話して下さい。担当医との会話は、メモしておくと便利です。次の診察や検査の予定が決まります。
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検査や診断
子宮内膜細胞診、子宮内膜病利検査、超音波検査、子宮鏡などの検査が行われ、検査の結果や診断の説明があります。
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4

治療法の選択
ガンや体の状態に合わせ、治療方針の説明があります。
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治療
手術治療、放射線療法、化学療法(抗ガン剤)などの治療法が決まり、治療が始まります。困ったことや辛いことは、遠慮せずに医師や看護婦に話して下さい。
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経過観察
治療後、体調の変化やガンの再発・転移がないかなどを確認します。
しばらく通院し、検査などを行うことがあります。

2. 子宮とは

子宮子宮とは、妊娠時に体内で胎児が入る器官です。
子宮の2/3は「①子宮体部」、子宮の下部にあり、膣とつながった1/3が「②子宮頸部」と呼ばれています。合わせて約8cmほどの長さです。膀胱と直腸の間にあり、骨盤の底に固定されています。

子宮子宮の左右には「③卵巣」があり、子宮と卵巣を結ぶ「④卵管」が広がっています。子宮は、伸縮性のある平滑筋という筋肉でできた臓器です。

子宮 層「a.子宮内膜」、「b.子宮筋層」、「c.漿膜」と、3つの層の壁でできています。

3. 子宮体ガンの発症

子宮体ガンの詳しい発症原因は不明ですが、女性ホルモン「エストロゲン」が関わっていると言われています。閉経した時期(日本女性の平均閉経年齢は約50歳)に、卵巣の機能が低下し、定期的な排卵が起こらなくなることによって、子宮内膜を増殖させるホルモン「エストロゲン」の量が、増殖を抑える働きをもったホルモン「プロゲステロン」に比べ非常に高くなります。この「エストロゲン」が過剰になった状態が、子宮体ガンの発症原因の一つにあげられています。このため以前は、子宮頸ガンは閉経後の女性に発症するガンと言われていました。

「食生活が欧米化することにより動物性脂肪の摂取が増加し、体内の脂肪組織に蓄積されたり、合成させるエストロゲンの量が増える」、「ストレスが増加すると卵巣機能が抑えられる状況が多くなる」など、発症要因が増加していると言われています。そのため近年は、若年者の子宮体ガンが増えているようです。

4. 子宮体ガンの検査と受診

子宮体ガンが疑われると、「子宮内膜細胞診」、「子宮内膜病理検査」、「超音波検査」、「子宮鏡」などの検査を行います。

子宮内膜細胞診
子宮の内側にチューブを挿入し、内膜の細胞を吸い取ったり、こすり取って顕微鏡で調べます。
ガンの進行とは関係のない、Ⅰ(1)からⅤ(5)までのクラス分けがされます。

クラスⅠ 正常
クラスⅡ 異常細胞があるが、良性
クラスⅢ 悪性の可能性がある
クラスⅢa 悪性の可能性がある(軽度から中度の異形成)
クラスⅢb 悪性の可能性がある(高度異形成)
クラスⅣ 悪性の疑いがある(上皮内ガンの可能性)
クラスⅤ 悪性の疑いが強い(浸潤ガンの可能性)

子宮内膜病理組織診断
子宮内に細い器具を挿入して組織を吸い取ったり、掻き取ったりして病理組織(びょうりそしき)を顕微鏡で調べ、病気の診断や原因を究明します。
超音波検査
子宮に超音波をあて、内膜の厚さや形状に異常がないかを調べます。
子宮鏡
子宮内腔の状態を観察する内視鏡で、子宮内を調べます。

5. 子宮体ガンとは

婦人科のガンでもっとも一般的な子宮ガンには、「子宮体(しきゅうたい)ガン」(子宮内膜ガン)と「子宮頸(しきゅうけい)ガン」があります。子宮体ガンとは、「子宮内膜」と言われる胎児を育てる子宮の内側にできる「悪性腫瘍」のことを言います。悪性腫瘍はガンのほかに「子宮肉腫(しきゅうにくしゅ)」があります。

子宮内膜は、妊娠していなければ子宮内からはげ落ち、「月経」として出血し、体外へ出て行きます。子宮内膜がガン化した場合は、数ヶ月以上かけ「子宮肉腫」(悪性腫瘍)となります。

毎月正常な月経(内膜がはがれれば)があれば、子宮体ガンは発生しないと言われています。ただし、45歳前後以降の女性では、子宮内膜が完全にはがれず、残ってしまうことがあり、そこがガン化して子宮体ガンを発症させることがあります。その場合、月経終了後も数日間は少量の出血があります。正しい月経の周期は、開始2日目に出血が多くなり、5日から6日で出血は終了します。

子宮体ガンが進行すると、「子宮筋層」(妊娠時に発育する胎児を保持する筋肉)や、周辺のリンパ節へ浸潤(しんじゅん)し、広がっていきます。さらに進行し浸潤すると、リンパや血液の流れにのり、膀胱(ぼうこう)や腸粘膜、小骨盤などへ転移するほか、卵管を経由して腹腔内に播種(はしゅ)することもあります。

6. 子宮体ガンの症状

子宮体ガンの症状は、

  • 月経以外の出血
  • 褐色(かっしょく:黒みがかった茶色)のおりもの
  • 排尿痛(はいにょうつう)
  • 排尿困難
  • 性交時痛
  • 骨盤の痛み

などです。

通常みられる症状は出血です。閉経後に少量ずつ長い期間出血がある場合は注意が必要です。子宮体ガンは、乳ガンで使われる「タモキシフェン」というホルモン剤を投与している場合に見つかることが時々あるようです。ホルモン剤を投与しているとき以外でも乳ガンや大腸ガンは子宮体ガンの発生する割合が少し高いことが知られていますので、注意が必要です。

 

7. 子宮体ガン ステージ(病期)

子宮体ガンは悪性腫瘍ができている場所、深さや大きさ、転移などの段階により、0期、ⅠA期、ⅠB期、ⅠC期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期、ⅢB期、ⅢC期、ⅣA期、ⅣB期に分けられます。

子宮頸ガンの進み具合(病気、進行度)別、治療法の適応

子宮体 ステージ

8. 子宮体ガン 治療法

手術治療
手術治療は子宮体ガンのもっとも一般的な治療法です。
子宮内膜の異常組織を掻き出す「子宮内膜掻爬術(しきゅうないまくそうはじゅつ)」や、腹壁(ふくへき)を切開し、子宮や卵巣、卵管を切除する「単純子宮全摘出術」や「両側付属器(卵巣・卵管)切除術」があります。骨盤内や腹部大動脈の周辺のリンパ節に転移している場合は、リンパ節も一緒に切除(リンパ節郭清:かくせい)します。そのほか、子宮、卵巣、卵管、膣、子宮周辺の組織にガンが及ぶ場合は、広汎(こうはん)に切除する「広汎性子宮全摘出術」を行います。手術後は人によって排尿・排便障害や更年期障害、下肢(かし:足の下)がむくむなどの障害を起こすことがあります。
ホルモン療法
子宮を摘出せずに残したいと希望する若年の女性や、早期の場合で行われることがあります。ほかにも手術治療の補助的な治療として、化学療法の効果が不十分な場合に行うことがあります。
化学療法
抗ガン剤には、ガン細胞を殺したり増殖を抑えたりする作用があります。抗ガン剤を使用する場合、人によっては吐き気や脱毛など多くの副作用が伴います。
また、さまざまな抗ガン剤が開発されており、効き目の高い抗ガン剤も出てきています。外来で抗ガン剤治療を受ける日帰り治療や、飲むタイプの抗ガン剤を使う在宅療法が広がるなど、抗ガン剤の治療内容に変化が見られるようになっています。
緩和医療(かんわいりょう)
患者さんの苦痛を和らげることを目的とした、患者さんとその家族に対して行う医療ケアです。ガンの病状や時期に関係なく、体や心のつらさを和らげ、「その人らしさ」を大切にすることを目的に行います。また、ホスピス(緩和ケア病棟)という、ガンの進行に伴う体や精神的な症状があり、ガンの治療が難しくなったりガンの治療を希望しない方を主な対象とした施設などもあります。(施設により、受け入れの基準が異なるため、直接施設にお尋ね下さい。)

9. 子宮体ガン 治療の経過

転移について
転移とは、子宮体部のガン細胞が血液やリンパの流れに乗って、他の臓器で増殖することです。肺に転移した場合、手術治療が行われることがありますが、多臓器におよぶ場合はホルモン療法や化学療法が行われています。
再発・再発予防
再発とは、手術や抗ガン剤、ホルモン剤の治療により、一旦は治ったように見えていたガンが、再び出現することを言います。再発したガンが子宮や膣、骨盤などに再発した場合(局所再発)には、体の状態などにより、放射線療法が主に行われます。20年ほど前まで、子宮体ガンは子宮頸ガンに比べ少なく、子宮ガンの約15%ほどでしたが近年、子宮体ガンは増え始め、40%前後となっています。原因は、女性のライフスタイルが変わってきたことが関わっているようです。欧米型の食事、晩婚化、妊娠する回数の減少などで、ホルモンのバランスが崩れることが原因の一つになっているのではないでしょうか。また、どんなガンでもそうですが、喫煙もガンに悪影響を与えていると言われます。たばこが影響させるガンは肺ガンや咽頭ガン、喉頭ガンを思い浮かべますが、肺から吸収された発ガン物質は、血中に入って全身を巡っています。たばこを吸っている人のそばで吸ってしまう「副流煙」も、吸ってる本人よりも
多く有害物質が含まれています。たばこを吸う人のそばで長居は禁物です。バランスの良い食事、禁煙、適度な運動などが再発を予防する手助けをしてくれます。
再発予防の治療
再発を予防するための治療には、化学療法(抗ガン剤)、ホルモン療法などがあります。根治手術後も、目に見えないガンが存在するとして、行われます。また、放射線療法なども行うことがありますが、リンパ郭清をした後に行うと、「リンパ浮腫(ふしゅ)」という後遺症が出ることがあります。
予後
どんなガンでも同じことが言えますが、早期のガンでは、治癒する可能性も高く、進行するほど予後が悪くなってしまいますので、できるだけ早い発見と治療が重要になっています。ステージ0期で子宮全摘を行った場合は、治療後に再発することはほとんどないため、予後は手術前と変わりない生活が行えます。
日常生活
治療後は体力が低下しているので、しばらくは疲れたら横になり、足を高くして休むなど、無理をせずなるべく体に負担をかけないようにしましょう。また、体力の回復に合わせて、散歩などから徐々に運動量を増やしていくことをお勧めします。食事についての制限は特にありませんが、栄養バランスのいい食事を心がけましょう。