膵臓ガン

1. 膵臓ガンの診療の流れ

1

ガンの疑い
「いつもと体調が違う」と感じたら、なるべく早く受診しましょう。
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受診
現在の症状や気になっていることなどを担当医に話して下さい。担当医との会話は、メモしておくと便利です。次の診察や検査の予定が決まります。
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検査や診断
超音波検査、内視鏡検査(内視鏡的逆行膵管造影:ERP)、内視鏡的逆行性膵胆管造影:ERCP)、血管造影、CT検査、MRI検査、ERCP検査、PET検査、PTC検査などの検査が行われ、検査の結果や診断の説明があります。
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4

治療法の選択
ガンや体の状態に合わせ、治療方針の説明があります。
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5

治療
手術治療、放射線療法、化学療法(抗ガン剤)などの治療法が決まり、治療が始まります。困ったことや辛いことは、遠慮せずに医師や看護婦に話して下さい。
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経過観察
治療後、体調の変化やガンの再発・転移がないかなどを確認します。
しばらく通院し、検査などを行うことがあります。

2. 膵臓(すいぞう)とは

膵臓は、胃の後ろにある15cmほどの臓器で、消化液を分泌する「外分泌機能」とホルモンを分泌する「内分泌機能」を持つ、重要な臓器です。外分泌部は、消化酵素を含む膵液という消化液を作り、十二指腸に送り込み消化を促進させます。内分泌部は、ランゲルハンス島と呼ばれ、さまざまなホルモンを分泌しています。
代表的なホルモンの一つである「インシュリン」は、血糖値を安定させる重要な役割を持っています。

膵臓は細長い臓器で、「①膵頭部」「②膵体部」「③膵尾部」に分けられます。
右側の頭部は「a.十二指腸」に囲まれ、左側の尾部は「b.脾臓」に接しています。

臓器人体

 

3. 膵臓ガンの発症

膵臓ガンが発症する原因はよくわかっていませんが、糖尿病や慢性膵炎、急性膵炎など、膵臓の病気により、膵臓ガンに移行する傾向があるだけではなく、食生活や社会環境の変化も影響していると言われています。

特に発ガン性物質であるたばこ、膵臓に負担をかける飲酒、肉食・高脂肪食を多く摂る食事などが、膵臓ガンの発症リスクを高めるのではないかと言われています。
逆に野菜・果物摂取がリスクを低下させる可能性が示されています。また、ストレスや不規則な生活、肥満なども影響している可能性もあります。そのほか、膵臓ガンにかかったことのある家族がいる、糖尿病にかかっている方も、注意が必要です。

4. 膵臓ガンの検査

膵臓ガンが疑われると、下記のような検査が行われます。
黄疸(おうだん)がみられる場合は、「PTC検査」が併せておこなわれることとなります。

超音波検査
超音波を腹部に当て、返ってくる反響を映像化して診断する検査です。妊娠中のお腹に当てる検査としても知られています。
膵臓は、膵頭部と膵尾部の一部が見えにくいという欠点がありますが、ガンが2cmを越えていると発見される可能性が高くなります。
内視鏡検査
内視鏡を口から挿入し、膵臓を調べます。ガンと疑われる組織を一部採取し、ガン細胞の有無を調べる検査を行います。

内視鏡的逆行膵管造影:ERP

内視鏡を使い、膵管に造形剤(画像をわかりやすくするために、特定の組織を強調させるための薬品)を入れ、X線撮影する検査です。膵液を採取して、ガン細胞の有無を調べることもできます。

内視鏡的逆行性膵胆管造影:ERCP

内視鏡を使い、胆汁(たんじゅう)と膵液の出口である乳頭開口部に細い管を入れ、造形剤を注入し、レントゲン撮影します。膵臓や胆管、胆嚢の診断に行われます。

血管造影
足の付け根や手首の動脈から撮影したい血管までカテーテル(細い管)を挿入し、造形剤を注入して血管の様子や腫瘍の影を撮影して検査します。
ガン細胞が動脈や門脈に及んでないかを調べるために重要な検査となります。
CT検査
X線を使った体の輪切り映像で、腹部や胸部の異常を調べる検査です。
治療前検査では、造経済を注射して検査を行いますので、ヨードアレルギーがある場合は注意が必要です。ドーナツ状のスキャナーを通過して撮影します。
MRI検査
強い磁石と電波を使った輪切りの映像で、体内の様子を調べる検査です。
CT検査と同じような、ドーナツ状のスキャナーを通過して撮影します。

磁気共鳴胆管膵管造影:MRCP

内視鏡や造形剤を使わずにERCPの画像を得ることができます。

5. 膵臓ガンとは

膵臓にできる「悪性腫瘍」のことを言います。
発生する部位により「膵頭部(すいとうぶ)ガン」「膵体部(すいたいぶ)ガン」「膵尾部(すいびぶ)ガン」に分類され、もっとも発生しやすいのが膵頭部ガン、次いで膵体部ガン、膵尾部ガンとなっています。
さらに膵臓にできたガンのほとんどは、膵液(すいえき)を運ぶ膵管(すいかん)の細胞から発生します。

複数の層でできた胃や大腸とは違い、膵臓には上皮細胞の下に層はありません。
胃や大腸のガンでは上皮細胞にガンが発生しやすく、粘膜下層や固有筋層に浸潤(しんじゅん)するので、進行には時間がかかるのですが、膵臓ガンは周りの太い血管やリンパ節に浸潤し、流れに乗って転移しやすくなります。
そのほか、ホルモンを作るランゲルハンス島の細胞から発生するガンもあります。初期症状がほとんどなく、症状が出始めたときには進行していることが多い、発見しにくいガンだと言えます。

PET検査
ブドウ糖に近い成分の検査薬(FDG)を体内に注射し、PET(CTやMRIのようなドーナツ状のスキャナーを通過)で撮影すると、検査薬が多く集まるところがわかり、ガンを発見する手がかりになるという検査です。
ERCP検査
内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管と膵管の共通の出口である十二指腸乳頭に細い管を挿入し、造影剤を入れてX線撮影する検査です。膵液や胆汁を採取し、細胞や遺伝子の検査も可能です。
PTC検査
ガンが原因で胆汁の流れが止められ太くなった上流胆管に針を刺し、造形剤を注入しすることで狭窄や閉塞している部分の様子を調べることができます。この検査と同時に、下に流れなくなった胆汁を体の外に出す黄疸の治療も行います。

6. 膵臓ガンの症状

膵臓ガンは、ほとんど症状が出ない人もいますが、

  • 腹痛
  • 背中痛
  • 体重減少

などが、見られることがあります。

このような症状は、膵臓ガンでなくてもあらわれる症状であり、そのために発見が遅れることもあります。糖の代謝がうまくいかず、糖尿病が発生することもあります。膵臓ガンが進行すると、ガンで胆管がせまくなり、胆汁の流れが悪くなって起こる、

  • 黄疸(おうだん)
  • 尿の色が濃くなる
  • 体がかゆくなる

などの症状もみられます。

慢性膵炎の症状も膵臓ガンによく似ているため、慢性膵炎であっても膵臓ガンの検査を行うことが必要です。

7. 膵臓ガン ステージ(病期)

膵臓ガンは悪性腫瘍ができている場所、深さや大きさ、転移などの段階により、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、ⅣA期、ⅣB期に分けられます。

膵臓ガンの進み具合(病気、進行度)別、治療法の適応

膵臓ガン ステージ
 

8. 膵臓ガンの治療法

手術治療
膵臓ガンでは確実な治療法となります。ガンのある位置によって、切除の方法が選択されます。膵頭部を中心にガンがある場合、十二指腸・胆管・胆嚢(たんのう)を含めて切除します。位置により、胃を一部、または全摘出する場合もあり、切除する部位によっては、再建が必要になることもあります。膵尾部側にガンがある場合、膵体尾部と脾臓を一緒に切除します。また、ガンの範囲により膵臓の全てを切除する膵臓全摘術を行う場合があります。この場合、血糖を調節するインシュリンの注射が必要となります。
化学療法
抗ガン剤には、ガン細胞を殺したり増殖を抑えたりする作用があります。
手術と組み合わせて使われる方法(補助化学療法)と、手術が難しい場合に使われる方法があります。抗ガン剤を使用する場合、人によっては吐き気や脱毛など多くの副作用が伴います。また、さまざまな抗ガン剤が開発されており、効き目の高い抗ガン剤も出てきています。外来で抗ガン剤治療を受ける日帰り治療や、飲むタイプの抗ガン剤を使う在宅療法が広がるなど、抗ガン剤の治療内容に変化が見られるようになっています。
放射線療法
通常は体の外から膵臓ガンに向けて照射しますが、手術中に腹部の中だけに照射する「術中照射」を行う場合もあります。進行し手術ができない場合や、離れた臓器に転移している場合には抗ガン剤治療と合わせて行われます。また、ガンによる痛みを和らげる目的でも行われます。 

放射線療法による副作用として、全身倦怠(ぜんしんけんたい)や吐き気、嘔吐、食欲低下などの症状が人によって出ることがあります。

緩和医療(かんわいりょう)
患者さんの苦痛を和らげることを目的とした、患者さんとその家族に対して行う医療ケアです。ガンの病状や時期に関係なく、体や心のつらさを和らげ、「その人らしさ」を大切にすることを目的に行います。
また、ホスピス(緩和ケア病棟)という、ガンの進行に伴う体や精神的な症状があり、ガンの治療が難しくなったりガンの治療を希望しない方を主な対象とした施設などもあります。(施設により、受け入れの基準が異なるため、直接施設にお尋ね下さい。)

9.膵臓ガン 治療の経過

転移について
膵臓ガンは、リンパや血液の流れにのり、ほかの臓器で増殖したり、ガン細胞が腹腔内に散り、増殖をするなど転移をしやすいと言われるガンでもあります。腹腔に転移すると、多量のたんぱく質を含む腹水がたまり、ガン細胞が浮遊した状態になります。特に、膵臓から流れ出た血液が最初に届く肝臓には転移しやすく、膵臓ガンを切除できても肝臓へ転移する場合が多くなっています。
再発・再発予防
再発とは、手術や抗ガン剤の治療により、一旦は治ったように見えていたガンが、再び出現することを言います。膵臓ガンは、膵臓周辺の臓器に散ったように広がって、完全に取ってしまったと思えるガン細胞も、細かい腫瘍(しゅよう)が残る場合があります。特に膵臓の周辺は、ほかの臓器や血管などが複雑に絡み合いっているため、全てのガンを取りきれず、再発することがあります。 

膵臓ガンの予防に関しては、膵臓に負担をかける食生活や習慣、ストレスに気をつけることが予防の第一歩になるのではないでしょうか。

また、一気に食べたり飲んだり、脂肪の過剰摂取などは膵臓に負担をかけ、大量の飲酒は慢性膵炎を引き起こす原因となります。慢性膵炎とガンの関係は明確ではありませんが、膵臓をいたわるという意味では、飲酒を控えることも大事です。

再発予防の治療
再発を予防するための治療には、化学療法(抗ガン剤治療)などがあります。手術治療後も、目に見えないガンが存在するとして、行われます。
予後
膵臓ガンは早期発見が難しく、再発・転移が多いことも特徴の一つです。そのため、膵臓ガンの予後は残念ながら良いとは言えません。ですが、最近は画像診断の技術も向上し、早期発見も可能になってきています。新しい治療法なども開発され、膵臓ガンの生存率も上昇してきています。
日常生活
再発や転移、糖尿病になりやすい膵臓ガンは、日頃から飲酒や喫煙、ストレスなどで膵臓に負担をかけないように、いたわることが大切です。また、発見しにくいガンでもあるので、積極的に検査をするなど、早期発見、早期治療を心がけましょう。