腎臓ガン

1. 腎臓ガンの診療の流れ

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ガンの疑い
「いつもと体調が違う」と感じたら、なるべく早く受診しましょう。
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受診
現在の症状や気になっていることなどを担当医に話して下さい。担当医との会話は、メモしておくと便利です。次の診察や検査の予定が決まります。
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検査や診断
超音波検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査、骨シンチグラフィーなどの検査が行われ、検査の結果や診断の説明があります。
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4

治療法の選択
ガンや体の状態に合わせ、治療方針の説明があります。
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5

治療
手術治療、放射線療法、化学療法(抗ガン剤)などの治療法が決まり、治療が始まります。困ったことや辛いことは、遠慮せずに医師や看護婦に話して下さい。
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経過観察
治療後、体調の変化やガンの再発・転移がないかなどを確認します。
しばらく通院し、検査などを行うことがあります。

2. 腎臓とは

腎臓とは、泌尿器系に属する臓器です。
肋骨の下端の高さに左右2つあり、「必要なもの」と「必要ではないもの」を選別する働きをもつ「ネフロン」という約100万個(左右で200万個)の球体とそれにつながる尿細管からできています。1日に約120リットルの血液を濾過し、老廃物や毒素は尿中に排泄し、きれいな血液をつくります。そのほかにも、血液中の水分や塩分をバランスを保つ、ホルモンを分泌し赤血球を増やす、ビタミンDを活性化し、骨を丈夫にする、血圧をコントロールするなどのはたらきがあります。
腎臓
 

3. 腎臓ガンの発症

腎臓ガンが発症する原因は、まだ解明されていません。
発症しやすい要因としては、

  • 喫煙
  • 肥満(特に女性)
  • たんぱく質や動物性脂肪の過剰な摂取
  • 遺伝(ガンを発生させやすい体質の遺伝)
  • 利尿剤の服用
  • 高血圧

などがあげられます。

また、有機溶媒(ゆうきようばい:溶解・抽出・洗浄などに用いる有機化合物)や金属を使用する労働環境は、腎ガンの発症リスクを上げると言われています。

長期にわたり透析(とうせき)による治療を受けている場合、萎縮腎(いしゅくじん:腎臓が小さく硬くなった状態)になることがあり、膿疱(のうほう)の中にガンが見つかることもあるようです。

4. 腎臓ガンの検査

腎臓ガンが疑われると、「超音波検査」、「CT検査」、「MRI検査」、「血管造影検査」、
骨への転移を調べるために「骨シンチグラフィー検査」などの検査を行います。

超音波検査
超音波を腹部に当て、返ってくる反響を映像化して診断する検査です。
妊娠中のお腹に当てる検査としても知られています。
CT検査
X線を使った体の輪切り映像で、腹部や胸部の異常を調べる検査です。治療前検査では、造影剤を注射して検査を行いますので、ヨードアレルギーがある場合は注意が必要です。
ドーナツ状のスキャナーを通過して撮影します。
MRI検査
強い磁石と電波を使った輪切りの映像で、体内の様子を調べる検査です。
CT検査と同じような、ドーナツ状のスキャナーを通過して撮影します。
血管造影検査
足の付け根や手首の動脈から撮影したい血管までカテーテル(細い管)を挿入し、造形剤を注入して血管の様子や腫瘍の影を撮影して検査します。ガン細胞が動脈や門脈に及んでないかを調べるために重要な検査となります。
骨シンチグラフィー検査
進行した腎臓ガンは骨へ転移することがあります。
放射線医薬品を注射し、ガン細胞に集まる放射線薬品を撮影し、転移を調べる検査です。

5. 腎臓ガンとは

腎臓ガンとは、腎臓に発症する「悪性腫瘍」のことを言います。
腎臓、尿細管内に発生する「腎細胞ガン」と腎盂(じんう)、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道の一部に発生する「腎盂ガン(じんうがん)」とに大きく分けられますが、腎臓ガン(腎ガン)とよばれるほとんどが、「腎細胞ガン」です。
ほかにも「ウィルムス腫瘍(しゅよう)」という小児にできる特殊な腎臓ガンもあります。

腎臓ガンは、比較的ゆっくり進行するガンです。このため症状が出ることも少なく、高齢者やガンが小さい場合には、経過観察することもあります。ですが、多くの血液が集まる腎臓ガンは、血液の流れに乗り肺や肝臓、骨などに転移をしやすい特徴も持っています。

  • 腎盂ガンとは、腎臓からしみ出る尿が集まる腎盂にできるガンのことを言います。(腎盂の次には、尿管に運ばれます。)
    尿中発ガン物質との接触がガンの要因と考えられています。また、喫煙や化学薬品、鎮痛剤、慢性炎症、抗ガン剤なども関わっていると言われています。症状としては、血尿やわき腹の痛みなどがみられます。
  • ウィルムス腫瘍は5歳以下の小児に発症する悪性腫瘍です。まれに両側の腎臓や、腎臓以外の部位にも発症し、泌尿器などの奇形を伴うこともあります。腹部にできた「しこり」で気づくことが多いようです。症状としては、腹部のしこり、腹痛、血尿、食欲低下などです。

6. 腎臓ガンの症状

腎臓ガンは、ガンが小さなうちは症状がほとんどなく、進行するとさまざまな症状があらわれてきます。
早期の自覚症状としては、

  • 発熱
  • 体重減少
  • 貧血 など

進行すると、

  • 血尿
  • 腹部のしこり
  • わき腹の疼痛(とうつう:ずきずき痛むこと)

などを起こすことがあります。

発熱や体重減少、貧血は、ほかの病気でもみられる症状です。
このような自覚症状だけで腎臓ガンを発見することは難しく、早期での発見は、人間ドックや健康診断、ほかの病気の検査で偶発的に見つかることがあります。

骨への転移による病的骨折(正常な強度を持たない骨が、普通なら骨折まで至らないような状況で、簡単に骨折してしまうこと)や、肺への転移による咳(せき)、血痰(けったん)などの転移による症状でガンが見つかることも少なくありません。

7. 腎臓ガン ステージ(病期)

膵臓ガンは悪性腫瘍ができている場所、深さや大きさ、転移などの段階により、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分けられます。

■腎臓ガンの進み具合(病気、進行度)別、治療法の適応
腎臓ガン  ステージ
 

8. 腎臓ガンの治療法

手術治療
腎臓ガンの治療の主体は手術治療です。病期に関わらず、摘出できる場合は腎臓を切除します。副腎や周囲の細胞組織、ゲロタ筋膜ごと摘出する方法が一般的です。(腎臓は左右に2つあり、手術後は残る腎臓が正常であれば、腎不全に陥ることはほとんどありません。)ガンが小さく浅い場所にある場合、ガンのある部分だけを摘出し、周囲を残し温存する方法もあります。
腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)
お腹に小さな孔(あな)を開け、腹腔鏡でお腹の中を見ながら行う手術です。
開腹手術よりも手術時間は長くなりますが、小さな傷で切除が可能ですから、術後の痛みも少なく数日で退院できる、負担の少ない治療です。
※腹腔鏡手術を希望する場合、専門医がいる病院を受診し、十分に説明を受ける必要があります。
動脈塞栓術
腎臓へ流入する主要な血管内に、カテーテル(細い管)で、細かくした特殊なゼラチンスポンジを注入し、腎臓への血流を遮断。
酸素やガンの成長に必要な物質がガン細胞へと供給されることを防ぎます。
免疫療法
ガンが多発している場合に行われます。「インターフェロン-α」、「インターロイキン2」などの注射を行う治療です。
化学療法
抗ガン剤には、ガン細胞を殺したり増殖を抑えたりする作用があります。
手術と組み合わせて使われる方法(補助化学療法)と、手術が難しい場合に使われる方法があります。抗ガン剤を使用する場合、人によっては吐き気や脱毛など多くの副作用が伴います。また、さまざまな抗ガン剤が開発されており、効き目の高い抗ガン剤も出てきています。外来で抗ガン剤治療を受ける日帰り治療や、飲むタイプの抗ガン剤を使う在宅療法が広がるなど、抗ガン剤の治療内容に変化が見られるようになっています。
放射線療法
腎臓ガンでは、放射線の治療だけで根治することは難しいですが、ガンによる症状を緩和させる目的で行われることがあります。主に、骨や脳に転移した場合などに行われます。
緩和医療(かんわいりょう)
患者さんの苦痛を和らげることを目的とした、患者さんとその家族に対して行う医療ケアです。ガンの病状や時期に関係なく、体や心のつらさを和らげ、「その人らしさ」を大切にすることを目的に行います。
また、ホスピス(緩和ケア病棟)という、ガンの進行に伴う体や精神的な症状があり、ガンの治療が難しくなったりガンの治療を希望しない方を主な対象とした施設などもあります。(施設により、受け入れの基準が異なるため、直接施設にお尋ね下さい。)