腫瘍マーカー まとめ

腫瘍マーカー

「腫瘍マーカー」とは、体内にできた腫瘍が作り出す「特殊な物質」が体液中(主として血液中)に出現することを言います。体液(主に血液)で測定でき、腫瘍の状態の目安として使用されます。規準以上に出たときは、ガンがあることが推測されます。
腫瘍マーカーの検査は、ガンのスクリーニング(ふるいわけ)として行われます。まだ理想的な検査とは言えないため、「陽性だから必ずガンがある」「陰性だから安心」というわけではありません。ガンを診断していくための補助的な検査、治療していくための経過観察のための検査として利用されています。

各ガンで使用される腫瘍マーカー

腫瘍マーカー
 

腫瘍
マーカー
平常値 説 明
BCA225 160U/ml以下 血中BCA225は乳癌で特異的に高値を示すが、特に再発乳癌のときに陽性率が高い。その為、乳癌術後の再発や治療の経過観察に有用です。
BFP 75ng/ml以下 BFPは癌胎児性蛋白のひとつで、広範囲の悪性腫瘍に対するマーカーである。血中BFPは消化器、泌尿・生殖器、及び肺小細胞癌などの腫瘍に高値を示すが、特異性が低いために肝炎や肝硬変、子宮疾患、前立腺疾患などの良性疾患でも疑陽性になる。また、尿中BFPは尿路系腫瘍の腫瘍マーカーとしても有用です。
CA-125 “閉経前…40U/ml以下、
その他…25U/ml以下
(RIA法)”
CA125はヒト卵巣漿液性腺癌の培養細胞を用いて得られたモノクローナル抗体が認識する癌関連抗原である。血中CA125は卵巣癌で約80%の陽性率を認めるが、子宮内膜症や性周期、妊娠により血中濃度が上昇するためその判定には注意が必要です。
CA130 35U/ml以下 主に卵巣がんで上昇を示すマーカーです。
CA15-3 30U/ml以下 CA15-3はヒト乳脂球の膜上に存在する抗原(MAM-6)を用いて作製した抗体が認識する抗原である。血中CA15-3は乳癌に対する特異性は高いが、原発乳癌よりむしろ進行性乳癌や再発乳癌の陽性率が高いため、再発の予知や治療効果の判定として有用です。
CA19-9 37U/ml以下(RIA法) CA19-9はLewis式血液型物質に関連した腫瘍マーカーのひとつである。血中CA19-9は消化器系の腫瘍のスクリーニングなどに用いられるが、特に膵臓・胆道癌で陽性率が高い。そのため、膵臓癌の治療効果の判定や再発の早期発見に効果を発揮する。
CA50 40U/ml以下 膵臓と胆道系のがんに高い陽性率を示します。CA19-9やDUPAN-2などの腫瘍マーカーと併せて、これらのがんの診断、治療後の経過観察、再発の早期発見などに利用されます。
CA54/61 4U/ml以下 血中CA54/61は卵巣癌に高い陽性率を示すが、なかでも粘液性嚢胞腺癌では早期から高値となる。また、卵巣の良性腫瘍や性周期、妊娠による影響が少なく特異性が高いため、卵巣癌の診断に有用である。
CA602 63U/ml以下 CA602は上皮性卵巣がんのマーカーとして有用で、がんの診断および術後再発の早期発見、治療のモニタリングなどに用いられています。
CA72-4 4U/ml以下 血中CA72-4は卵巣癌に対する腫瘍マーカーではあるが、乳癌や胃癌、大腸癌の検出にも有用である。また、卵巣や肝臓、腎臓の良性疾患における疑陽性率が低く癌に対する特異性が高い。
CEA 5.0ng/ml以下 CEAは大腸癌組織の抽出物であり、胎児の消化管にも存在する癌胎児性抗原である。血中CEAは食道、胃、直腸等の消化器系の腫瘍マーカーとして広く用いられているが、乳癌や卵巣癌などの多くの腫瘍で高値となるため臓器特異性は低く、良性疾患やヘビースモカーでも疑陽性となる。
CYFRA 2.0ng/ml以下(IRMA法) CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)は、肺がんのうち扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんなどの非小細胞がんで陽性率が高く、病気の診断、経過や治療成績の判定に役立ちます。
DUPAN-2 150U/ml以下 血中DUPAN-2は消化器系の腫瘍マーカーとして用いられるが、特に膵癌、胆道癌、肝癌で高い陽性率が認められる。肝硬変、肝炎時の疑陽性率も高いため、その判定には注意する必要がある。
hCG 0.2ng/ml以下 hCGは、妊娠期の胎盤の細胞が生産する性腺刺激ホルモンで、妊娠中期のダウン症のスクリーニング(ふるいわけ)検査として有用ですが、卵巣がん、絨毛がん、精巣がん、肺がんなどでも陽性を示すため腫瘍マーカーとしても利用されています。
IAP 500ug/ml以下 IAPはα1酸性糖蛋白のひとつで、主にマクロファージで産生され宿主の免疫能を抑制する作用を持っている。血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となるが、炎症性疾患や免疫能の低下でも測定値の上昇を示すため癌との鑑別が必要である。
KMO-1 4.5未満(ng/mL) 血中ⅠCTP濃度は,悪性腫瘍,特に肺癌,乳癌,前立腺癌の骨転移症例において,骨転移の見られない症例に比べ有意に高値を示すことから,本検査は,悪性腫瘍の骨移転の診断補助及び治療効果判定の指標として有用と考えられます。
KMO-1 530U/ml未満 KM01は、Lewis血液型物質に関連した癌糖鎖抗原である。血中KM01は消化器系の癌で高い陽性率を示すが、なかでも膵臓癌、胆道癌、肝臓癌で高値を認める。
NCC-ST-439 7U/ml以下 NCC-ST-439はシアリル糖鎖抗原で、消化器系の腫瘍マーカーとして利用される。血中NCC-ST-439は膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌などの多種類の腺癌で高値となる。
NSE 10ng/ml以下(RIA法) NSEは神経内分泌細胞に含有される解糖系の酵素であり、神経内分泌系の腫瘍マーカーとして用いられる。血中NSEは神経芽細胞腫や褐色細胞腫などの神経内分泌腫瘍や肺小細胞癌で高値を示す。また、その治療効果の判定や経過観察にも有用である。
p-53抗体 1.3U/ml以下 p53抗体はガンを抑制している遺伝子の変異に対して体内に作られる抗体の量を測定するもの。比較的早期のガンで陽性になる特徴がある。他の腫瘍マーカーとは陽性率の重なりが少なく、組み合わせて検査する事が有用。ガンの場合に必ず陽性になるわけではない。
PAP 3ng/ml以下 PAPは酸性領域に至適pHを有する加水分解酵素で、体内で広く分布しているが前立腺で大量に合成される。血中PAPは前立腺癌の腫瘍マーカーとして、PAやγ-Smと伴に用いられる。
PAVKA-Ⅱ “40mAU/ml以下
(固相型EIA法)”
PIVKA-Ⅱはビタミン欠乏時に産生される異常プロトロンビンの一種で、血液凝固因子としての活性を持たない。血中PIVKA-Ⅱは肝臓癌に特異性の高い腫瘍マーカーであり、肝臓癌の診断や治療経過の観察に有用である。
ProGRP 46pg/ml未満 肺がんに特異性が高く、NSEよりも早期に数値が上昇します。
SCC 1.5ng/ml以下 SCCは扁平上皮癌細胞から抽出された抗原で、腺癌や未分化癌で陽性率は低いが扁平上皮癌では高い陽性率を示す。血中SCCは子宮頚部、肺、食道、皮膚の扁平上皮癌で高値を示し、扁平上皮癌の診断や治療効果の判定に利用される。
Span-1抗原 37U/ml以下 膵臓がん、消化器のがんの診断補助、治療効果判定、経過観察などに有用です。
STN 45U/ml以下 胃、胆道、膵臓、卵巣、子宮頸がんなどで高値を示します。
TPA 125U/ml以下(RIA法) TPAは細胞内の骨格を構成している構造蛋白質であり、正常組織にも広く分布しているため、特異性の低い腫瘍マーカーである。血中TPAは多くの悪性腫瘍で陽性を示すが、反面良性疾患における疑陽性率も高い。しかし、癌の進行度に関連して測定値が増減するため、治療効果の判定や再発の予知などに用いられる。
γ-sm 4ng/ml以下 γ-Smは精漿から抽出された前立腺組織に局在する前立腺特異抗原のひとつである。血中γ-Smは前立腺癌に対する特異性の高い腫瘍マーカーであるが、前立腺肥大症では疑陽性率が高いため他の前立腺腫瘍マーカーと伴に用いられる。
エラスターゼ1 100~400ng/dl(RIA法) エラスターゼ1は肝臓から分泌される蛋白分解酵素であり、特異性が低く広義な意味での腫瘍マーカーである。血中エラスターゼ1は膵癌で早期に高値を示す。良性膵疾患でもその病勢に応じて測定値が増減するため、膵癌スクリーニングだけでなく膵疾患の経過観察にも用いられる。
カルシトニン 15~86 pg/mL カルシトニンはカルシウム調節ホルモンのひとつとして副甲状腺ホルモンに拮抗し、血清カカルシウム濃度を下げ、骨吸収を抑制する事である。またカルシトニンは甲状腺髄様癌では異常高値となる場合が多く、肺癌など他の悪性腫瘍でも高値となる場合があるため、腫瘍マーカーとしての有用性が認められている。その他、骨塩量にも作用する事から高齢者の骨粗鬆症における重要性が示唆されている。
血清HER2タンパク 15.2以下(ng/mL) HER2/neu遺伝子は種々の腺癌、特に乳癌や胃癌などで高頻度に遺伝子増殖や過剰発現が認められる。乳癌では高頻度に遺伝子過剰発現が認められ、細胞膜表面に大量のHER2タンパクが存在し、その場合は転移・再発しやすく予後が不良と言われている。HER2タンパク測定は、HER2/neu遺伝子過剰発現乳癌患者における再発乳癌の診断補助および術後再発のモニタリングとして有用である。
フェリチン “男性…20~220ng/ml以下
女性…10~85ng/ml以下(RIA法)”
“血中フェリチンは鉄貯蔵蛋白であり、悪性腫瘍や炎症性疾患で非特異的に上昇する。
このため、他の腫瘍マーカーと組み合わせることで白血病、膵癌、肝癌の診断に用いられる。”
ポリアミン 13.2~46.2μmol/g・CRE ポリアミンは低分子の非蛋白性窒素化合物で、細胞の増殖や分化が活発になると増加する。尿中ポリアミンは広範囲の悪性腫瘍で尿への排泄量の増加を認めるが、良性疾患の疑陽性率が高いため、他の腫瘍マーカーと組み合わせて用いられる。