5. 陽子線治療

(ようしせんちりょう)

概要

放射線の一種である陽子線(ようしせん)を体外から病巣(びょうそう)に照射し、ガンを治療します。
ガンの治療に使われている放射線は、大きく「光子線(こうしせん)」と 「粒子線(りゅうしせん)」の2つに分けられます。
(図1)

「光子線」とは、光の波であり、「エックス線・ガンマ線」など従来の放射線治療に利用されています。「粒子線」は、粒子を利用した放射線で、水素という最も軽い元素(げんそ)の原子核(げんしかく)を利用した「陽子線」と、炭素原子から電子をとった炭素イオンを利用した「重粒子線」があります。

「陽子線」や「重粒子線」といった「粒子線治療」の最大の特徴は、放射線をガン病巣に集中できる治療法であるという事です。
従来の放射線治療に利用される「エックス線」「ガンマ線」は、体外から照射すると、体の表面近くで放射線の量が最大となり、それ以降は深さとともに減少していきますが、「陽子線」や「重粒子線」は、体の表面付近の放射線の量は小さく、粒子が停止する付近で最も大きくなります。この性質を利用して、ガン病巣の部分で粒子が止まるように調節すれば、ガン病巣に狙いをしぼって照射することができるのです。ガン病巣の部分だけを狙い打ちするので、

正常な細胞への影響は最小限に抑えることができ、副作用も従来の放射線治療に比べて少ない。
放射線の影響を受けやすい器官の近くにあるガン病巣にも、より安全に照射できる。
従来の放射線治療と比べ、短期間での治療が可能である。

というメリットがあります。
治療中に痛みや熱を感じることはなく、通院治療が可能です。

治療の効果が期待できるガン

限局性固形ガン(げんきょくせいこけいがん)ですが、各治療施設ごとに治療できるガンの種類が決まっています。

(1)対象となるガン

(下に書かれたガンであれば、全て治療できるわけではなく、診察や検査などで治療が可能であるかどうか判断されます)

  • 脳腫瘍
  • 頭蓋底腫瘍(とうがいていしゅよう)
  • 頭頸部腫瘍(とうけいぶしゅよう)(口・のど・鼻・副鼻腔・眼窩)
  • 非小細胞肺ガン
  • 肝細胞ガン
  • 食道ガン
  • 前立腺ガン
  • 縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)
  • 下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう)、悪性髄膜腫(あくせいずいまくしゅ)など
  • 鼻腔粘膜の悪性黒色腫
  • 骨・軟部組織の悪性腫瘍
  • 直腸ガン術後局所再発
  • 小児腫瘍【横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)、ユーイング肉腫、髄芽腫(ずいがしゅ)など】
  • その他、肺ガン術後局所再発例、転移性肺腫瘍、転移性肝腫瘍なども適応検討の対象となります。

治療の対象とならないガン

  • 白血病などの血液のガン。
  • 胃ガン、大腸ガン。消化器官は動きが不規則で、ピンポイントの照射が困難であることと、壁が薄いため大量に放射線が当たると潰瘍(かいよう)をおこしたり、穴があく危険性があるため。
  • 以前に同じ部位に放射線治療を受けている場合。(多くの放射線を照射すると重大な副作用が発生するリスクがあるため)
  • 広範な転移がある場合。

治療の条件

  • 自身がガンであることを認識している。
  • 比較的元気で、身の回りのことは自分で出来る。
  • ガンが原発部位に限局している。
  • 何らかの理由で手術が困難である(患者さんの手術拒否を含みます)。
  • 病巣が10cm未満で遠隔転移(えんかくてんい)がないこと。
  • 治療時に、同じ姿勢を保っていられる事。

治療の方法

治療は、装置のベッドに寝た姿勢で受けますが、ガン病巣に正確に照射するために、患者さんに合わせた固定具や照射器具が作られます。
治療は原則として1日1回行われます。照射回数は、ガンの部位や大きさなどにより異なりますが、8~40回で、治療に必要な期間は4~8週程度です。実際に、陽子線が照射されている時間は1~3分程度で、治療室に入ってから出てくるまでの時間は10~40分程度です。

治療による副作用・合併症

起こり得る副作用は、照射部位によって異なります。発赤などの皮膚症状などがありますが、1~2ヶ月で改善されます。

陽子線治療を行っている医療機関

東北

名称 財団法人 脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター
URL http://www.southerntohoku-proton.com/
住所 福島県郡山市八山田7丁目172
電話 024-934-3888
費用 2,883,000円

関東

東北

名称 国立がんセンター東病院
URL http://www.ncc.go.jp/jp/ncce/consultation/pbt.html
住所 千葉県柏市柏の葉6-5-1
電話 04-7134-6991(予約センター)
費用 2,883,000円
名称 筑波大学附属病院
URL http://www.s.hosp.tsukuba.ac.jp/
住所 茨城県つくば市天王台1-1-1
電話 029-853-3900
第二項
先進医療
陽子線治療 2,484,000円

肝切除手術における画像支援ナビゲーション

内視鏡的大腸粘膜下層剥離術

費用 2,484,000円

中部

名称 静岡県立静岡がんセンター
URL http://www.scchr.jp/
住所 静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地
電話 055-989-5222(代)
費用 基本料 2,400,000円(10回照射までを含みます)
照射料 100,000円/5回
※静岡県民の場合は、上記より200,000円が減免されます。
※基本料金+照射料の上限額 2,800,000円
詳しくはHPをご参照ください。
http://www.scchr.jp/youshisen/tiryohi/
名称 福井県立病院 陽子線がん治療センター
URL http://info.pref.fukui.jp/imu/fph/youshisen/
住所 福井県福井市四ツ井2丁目8-1
電話 0776-57-2980
費用 照射回数 20回まで 2,400,000円
21~25回 2,500,000円
26回以上 2,600,000円
治療の対象となるガン 前立腺ガン、肝細胞ガン、肺ガン、頭頸部ガン(喉頭ガンは除く)、転移性ガン(肺・肝臓・骨・リンパ節等に転移したガン)

近畿

名称 兵庫県立粒子線医療センター
URL http://www.hibmc.shingu.hyogo.jp/ionbeam.html
住所 兵庫県たつの市新宮町光都1丁目2番1号
電話 (0791)58-0100(代)
費用 2,883,000円(1部位のがんに対する一連の照射費用)
粒子線治療料を一時に支払うことが困難な県民に対し、貸付制度があります。
詳しくはHPをご参照ください。
http://www.hibmc.shingu.hyogo.jp/consult.html

九州

名称 財団法人メディポリス医学研究財団 がん粒子線治療研究センター
URL http://www.medipolis.org/
住所 鹿児島県指宿市東方5188番地
電話 (問い合わせ)0993-23-5188
(患者さん相談窓口)0993-24-3456
費用 1治療につき2,883,000円